はじめに                  

                            西田二郎

 便乗してみるのはどうやろか。

 今回の本はまさにそこからスタートしています。

 堀江貴文さんと西野亮廣くんの『バカとつき合うな』はバカ売れしています。だからというわけではありませんが(だからなのですが)、この本に便乗することが突然、アタマにひらめいたのです。

 あ! 便乗したいわあ、って。

 思いついたら即座に動くのが僕という人間です。

 西野くんとは旧知の間柄なので、「便乗してもええやろか?」と直接、尋ねてみました。すると、「最高www おもろいwww」という反応が返ってきたのです。

 その段階では、西野くんは本気にしていなかったのかもしれません。でも僕は本気でした。速攻で「こんなサイテーな便乗商法につき合っていただける出版社さん、編集者さんはいませんかあ?」と呼びかけてみると、すぐに引っかかってくれた人がいたのです。僕がバカだとしたなら、その編集さんもまたバカなのかもしれません。

 西野くんは堀江さんとのコンビで本を出したのだからと、僕はマキタスポーツさんをパートナーに選び、なかば強引にこの企画に引き込みました。かくしてこの企画が動きはじめたのです。

 西野くんが本気にしていないといけないので、「本当にやるよ」と再確認もとっています。西野くんはあいかわらず「最高~!」という反応でした。堀江さんも笑って許してくれたそうです。その上、なんと元本の出版社さんまでも「一緒に売っていきましょう!」という話になっているそうですから、もうみんなバカなんかもわかりません。

 パッケージ的な部分もすっかり便乗していますが、中身はどうかといえば、『バカとつき合うな』とは、ほぼ無関係です

 便乗によって割り込みをさせてもらったとはいえ、本の中では言いたい放題、書きたい放題でやっています。

 大括りとして「バカともつき合って」というタイトルに則ってはいます。でも、それ以上に「人との関わり合い方」や「生きていくことの苦しさ」みたいな話を展開しています。僕が常々考えている「サラリーマン2・0」についても提言しています。ひと言でいえば、サラリーマンを辞めて自由になるのではなく、サラリーマンでありながら自由であってもいいのではないか、というスタンスです。

 僕は読売テレビに所属するサラリーマンでありながら、かなり好き勝手にやっています。『ダウンタウンDX』や『ガリゲル』などといった番組でチーフプロデューサーを務めていたことがあるほか、『西田二郎の無添加ですよ!』といった番組をもたせてもらったこともあります。

「読売テレビはどうしてこんなバカをおいているんだ?」と疑問視もされがちですが、内部的にいえば「あいつはしょうがない」という存在になれているのではないかと思います。

 一方、マキタスポーツさんはFA宣言もされているフリーランスの個人事業主です。プロダクションとの契約はありながらも組織に属することはなく、芸人であり役者でありミュージシャンでもあるというように幅広い活動をなされています。

 特異な二人だという見方もされるかもしれませんが、実際はそうでもありません。与えられたレールの上をまっすぐ歩くのが苦手だったばかりに人と違った経験をすることになり、その果てにちょっと変わった場所にたどり着いたというだけなんです。

 マキタさんは20代の頃、ひとりきりの世界に閉じこもり、自分だけの箱庭をつくるのにも近い生活をしていたといいます。

 僕もまた20代、30代のうちには世の中が怖くて街に出られず、布団の中で息をひそめているような時間を過ごしていました。

 僕たちふたりに共通していえるのは「生きていくのは難しいなあ」という苦しみを経験してきたということです。

 要するに人生にあがいてきたわけです。

 不器用ながらも一生懸命、生きようとしてきた結果として、壁にぶつかることもありました。

 そういう壁を乗り越えてきたなかで学べたこともありました。それが〝自分のあり方〟だったり〝人とのつながり方〟だったりするのだと思います。

 組織に属していても属していなくても、生きている限り、人は必ず人との関わりをもちます。

 好きな人もいれば、嫌いな人もいます。

 利口に見える人もいれば、バカにしか見えない人もいるかもしれません。

 そういう人たちと、どのようにつき合いながら、自分というものを発揮していけばいいのか?

 そんな部分に対して、なんらかのヒントを提示できたら最高やな!

 そう考えたことが今回のこの本の出発点になっています。

 この本によって何かを規定しようとしたわけではありません。

 何かを規定しようとするのも、何かに規定されるのもつまらないことです。

 自分の中の常識は、自分でつくっていけばいいのではないのか?

 僕が言いたかったのはそういうことだったのではないかという気もしています。

 どうかしばらくのあいだ、こんなバカたちの話につき合ってみてください。……マキタスポーツさんをバカと呼んでいいのかはわからないんですけど。